第1章 帰る場所は
せめて、彼の安否が分かる情報が一つでもあれば良いのに。そう考えながら麗は溜め息と共に肩を落とした。今日もあちこちと歩き回ったが、二日目も諦めるしかなさそうだ。帰路に着く為に顔を上げれば、そこには見知った姿があった。
あれは、猿飛さん。
彼女なら、銀時の行方を知っているのだろうか。正直、常に己の恋人に付き纏っている彼女にはなるべく頼りたくない。けれど、銀時を何処までも追いかける彼女の事だ。もしかしたら銀時の居場所を知っているかもしれない。何の手がかりも掴めない自分と違って、何か有力な情報を手にしているかもしれない。藁にも縋る思いで、麗は思い切ってあやめに話しかけた。