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帰る場所は(銀魂:銀時夢)

第1章 帰る場所は


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「銀さん?新ちゃんからは聞いていましたけど、まだ戻って来てないんですか?」

「ええ…。お妙ちゃん、見かけてないのよね?」

 麗が銀時を捜し回り始めてから、丸一日は経っていた。二日目の今日も、町中で知り合いを見かければ尋ねてまわっていた。今はスナックすまいるに出勤する為に出歩いていた志村妙に時間を貰い、銀時の行方を問う。しかし、望む答えは得られなかった。

「ごめんなさい、力になれそうにないわ。でも、見つけたら必ずタコ殴りにして帰るよう急かしますから。約束します。ですから安心して下さいね。」

「ふふふ。ありがとう、お妙ちゃん。でも、せめて顔が分かるようにしてね?」

 明らかに気落ちした麗を励ますつもりなのか、それとも本気で言っているのかは分からないが、お妙は物騒な約束をした。それが可笑しく思えた麗も麗で、タコ殴りの案は否定しなかった。これ以上お妙を足止めするのも悪いと思い、麗は別れの挨拶を切り出して彼女が仕事場へ向かうのを笑顔で見送った。

 しかし、その笑みもお妙の姿が無くなったと同時に失われる。強がって少し余裕のある態度をしてはいたが、麗は内心とても銀時の事が気がかりだった。

 二日目の今日になっても、銀時の目撃情報が皆無だからだ。昨日は近所の住宅街、繁華街や公園、挙句の果てに吉原と真選組にまで足を運んだのだ。お登勢、長谷川、桂とエリザベス、月詠や土方など、出会った人々に聞き回っても何も得られなかった。それぞれ異口同音で銀時を見ていないと言う。それを聞く度に不安な表情を麗は浮かべたが、それを見た人達はこれまた口を揃えて「心配ない」「あのバカの事だ」「すぐにヒョッコリ戻って来る」と励ました。そう言われてしまえば、麗はそれ以上心の不安を打ち明ける事が出来なかった。
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