第1章 帰る場所は
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銀時を捜し始めて四日目。麗は諦めずかぶき町を歩き回っていた。もう何度も訪れているが、一向に銀時の気配も情報もない。また成果の無い日が続いた事に、麗は落胆した。そのまま重い足取りで万事屋へ向かう。万事屋に続く階段を上り、戸を鍵で開ければ、ガラガラと戸が一人でに勢い良く開く。そして麗の腕は何者かに引っ張られた。
え、と思った瞬間には、麗は久しく触れていなかった腕の中にいた。今感じている温もりは、願望が生み出した幻なのだろうか。唐突な出来事で頭が着いて行かない。けれど、上から掛けられた声で、今の状況が一気に現実味を帯びる。
「悪かった。ちーっと、遠回りしすぎちまった。」
「…ばか、何処で道草くってたのよ。………寂しかった。」
やっとの事で、麗は言葉を発した。その声も語尾になればなる程、涙ぐんで小さくなったが、銀時は最後までしっかりと言葉を拾う。
「俺も、すげー寂しかった。」
同じ気持ちである事を銀時は麗に伝える。生きる歳月と比べれば、三日四日は短い期間なのかもしれない。しかし、二人にとってそれは長過ぎる時間だった。そんな時間を埋め合わせるかのように、二人は互いの熱を感じるように抱き締め合う。けれどしばらくすれば、銀時の方からまた口は開かれた。
「なあ、聞いて欲しい事があんだけど。」
「…なに?」
改めて言われ、麗も聞く姿勢を改める。
「俺ァ、必ずお前の所に戻ってくる。」