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鳥になった少年の唄

第2章 再会


ゴールデンウイーク初日、私は新幹線に乗っていた。両親の名代で京都へ行くことになっていた。いずれは私も参加しなくてはいけなくなる財界のパーティーに出席するために。正直憂鬱だ。おっさんだらけの会場で作り笑いをし続けなければいけない。駒でいるのも大変なのだ。

憂鬱になる原因はもう一つある。彼も来るのだ。赤司家の名代として。財界での彼への評価は高い。将来有望な赤司家の御曹司として完璧な評価を得ている。彼のまわりには人が集まるだろう。その中には私の存在を快く思っていない人も大勢いる。同じくらいの年頃の娘を持つ家の人間は特にそうだ。できることなら近寄りたくないがそうもいかない。そういう輩こそ寄ってくる。私を蹴落として自分達の駒を彼にあてがうために。彼もそのあたりのことは想定内なので、当たり障りなく受け流していく。私にだけ負のオーラを押し付けて。受け入れてはいるけれど好んで婚約者という立場にいる訳ではないこちらの身にもなってもらいたい。

少し頭痛がしてきた。眼を閉じて背もたれにゆっくりともたれかかる。京都に到着するまで少し休むことにした。
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