第2章 若女将は中学生
「温泉だー!」
「おー!」
円堂の提案により、先に旅の疲れを癒すため温泉に入ることにした一同は大浴場に来ていた。
「俺、いちばーん!」
「あ、キャプテン、ズルいッス!」
「そうでヤンスよ!」
体を洗い終わった部員たちは次々と温泉の中へ入って行く。
「カーッ! 気持ちいいなー!」
「本当だな」
「心まで温まる感じがするな」
部員たちは自由気ままに、けれどもマナーだけは守りながらのんびりと温泉を楽しんでいる。
「それにしても……人気なホテルのはずなのに、俺たち以外の客があんまりいないんだな……」
「ああ、そのことだが」
疑問を口にした一之瀬に鬼道が答えた。
「どうやら、気を利かせてくれたさっきの女の子が俺たちの泊まる部屋を別館の部屋にしないか提案してくれたそうだ」
「え!?」
「別館?」
「ああ」
鬼道は頷いた。
「団体客や特別なお客が来た時にしか使われてないらしいのだが、俺たちにゆっくり休んでもらうために、温泉も食事処も寝る部屋も全て本館と別になっているところを用意してくれたらしい」
「本当か、鬼道!」
円堂は鬼道を見た。
「ああ、さっき塔子が教えてくれた」
鬼道は円堂の言葉に頷きながら答えた。