第1章 *片想い[高尾和成]/裏
“なんかいいことないかなぁ”
口癖みたいに呟いてふとトイレの鏡を覗き込むと、
10歳くらい老けた自分が映っていた。
…冗談ではなく。
「うう…」
重くて気だるさを訴える腰を引きずりながら廊下を歩く。
昨日は激しかったなぁ、そんな風に情事を振り替えるのにももう慣れた。
あーあ。
…もうそろそろ、
返事くれたっていいんじゃない?
……付き合ってくれたっていいんじゃない?
たとえお遊びでも。
どうせ、知ってるんじゃん。
私の気持ちなんてさ。
髪を整えるべく取り出したハンドミラーを苦笑混じりに見返すと、
何故だか泣きそうな私が映っていて唇をかんだ。