第2章 *擦れ違い[鬼灯]
「白澤ーっ」
「やぁ、ちゃん」
「ごめん、待った?」
「大丈夫。じゃ、行こうか」
爽やかな笑みを浮かべる白澤の手に指を絡める。
端から見たらどう見てもカップルのデートだろう。
別に私たちは恋仲にない。
お互い遊び好きなだけ。
それでも遊び相手にこいつを選ぶのは、まあ男としても嫌いじゃないんだろう。
それは、多分向こうも。
…ただ、端から見ても明らかにおかしいことがある。
後ろに、しかもほんの10メートル後ろを着いてくる、見覚えのある背中の紋章。
いくら帽子を目深に被ろうが和服の時点でもう目立っていると教えてあげたい。
これでも一応私の上司かと思うと、本当にため息が出る。
「…いい加減にしてください、鬼灯さん」