第1章 *片想い[高尾和成]/裏
[おまけ]
チャイムが鳴り響いて目を覚ました。
寝起きでぼんやりした頭で数式が羅列された黒板を眺める。
誘われるんだろうな。今日も。
面倒臭く感じながらも、ちょっとだけ期待していたりもするからややこしい。
…ダメだ。あいつのことを考えると胸が痛くなる。
片想いなんて全然いいことないけど、
案外今のままでもいいかも、なんて思ったり。
「なんかいいことないかなぁ」
誰にともなく呟いた口癖。
机に向かって吐息をついて、突っ伏した。
ねぇ、和成。
どれだけ突き放されても、やっぱり好きみたいです。
だから、
ちょっとだけ自惚れてみても、期待してみてもいいですか…?
「……調子、狂う」
ドアの向こうで呟いた和成の顔は赤かったとか、
そうでなかったとか。
fin.