第1章 とらわれた少女
大好きよ。
あなたのことが大好き。
だから早く帰ってきて。
寂しくて、胸がつぶれそう。
「ただいま。ミモザ、元気だった?」
やわらかな声。黒々とした長い髪。漆黒の瞳。
待ち焦がれていた彼が扉を開け、軽やかな足どりで近づいてくる。
「お帰りなさい、イルミ」
私は頬を伝う涙を感じた。
イルミは私の目の前で立ち止まり、じっと私を見つめる。
「ミモザ、泣いてるの?そこまで喜ばなくてもいいのに」
そう言うと、イルミは私の頭にそっと触れ、優しく撫でてくれた。
涙はぴたりと止まった。
「うん、これでよし、と」
イルミは私の顔を覗き込んで唇にキスをした。
ゆっくりと、私はまぶたを閉じる。
幸福感と充足感に満たされる。
ずっとこんな時が続けばいいのに。