第10章 ターゲット(イルミ/吸血鬼パロ)
これでもうイルミとはお別れなんだなって思うと寂しいというよりも憎いって思った。
だってそうでしょ、これだけ人を魅了しておいてさ。
私はあくまでもイルミの食糧なのに…
イルミはどこからか針のようなものを出してきた。
ああ、あれを私に刺すんだなって直感でわかった。
月明かりにキラリと光るその針がまた繊細でとってもキレイでついうっとり見とれてた。
イルミはその針を私の頭に、スッと突き刺してきた。
少し痛かったような、そんなに痛くなかったような、よくわかんない。
噛まれた首筋の方がどくどくしてじんじんして痛かった。
「…抵抗されると面倒だからね、さ、リネル、食事の時間だよ」
イルミは私の耳元でそう言った。
イルミ馬鹿だね、私抵抗なんてするわけないでしょ、私はもう貴方の虜になっちゃったんだから。って言ってやりたいのに、口がうまく動かなかった。
身体が鉛みたいに重くて動かないのに意識だけはハッキリしてた。
イルミは噛んだ私の首元を指先でそっと撫でてきた。
イルミが指した針のせいなのかな?その時は傷口を触られても痛くはなかった。
ハッキリ覚えてる、イルミは私の傷口を触りながらこう言ったの。
「…リネル、お前あんまり美味しそうだからつまみ食いしちゃった、…俺、こんなの初めて」
その言葉を聞いた時に、私はこうなる運命だったのかなって思った。
気高そうなイルミがつまみ食いしちゃうくらいに私って美味しそうだったのかなって思ったらこんなに幸せな事ないもん。
イルミは私に顔を寄せて独り言みたいにこう言った。
「…リネル特別に…、リネルの好きな所から血を吸ってあげる…
あ、でも喋れないよね…」
私は必死に身体を動かそうとした、でもやっぱり指一本動かなくて。
仕方ないから目で訴えた。
私の最期のお願いを聞いてって。