第9章 お仕置き(イルミ/弟子/鬼畜/微甘)
「………ん…」
「起きた?」
リネルが重い瞼を開くと、何事もなかったかのように涼しい顔をしたイルミの姿を視界に捉えた。
いつもの凛としたイルミの姿に、リネルは先ほどの行為は夢だったのではないかと思えていた。
ちらりと回りを見れば 服もきちんと整えられており、さらには自分がイルミに膝枕をされている状態だということに気付く。
そんな事をされるのはもちろん初めてで驚きはあるものの、まだ眠気の残る身体には心地いいその感触に、リネルはぼーっとしながらイルミの顔を見ていた。
「ちょうどそろそろ起こそうと思ってたとこ、さ、今日の修業はじめるよ」
「え………」
少し頭を起こし窓を見れば、明け方が近いのか少しだけ外が明るくなっていた。
「もう…ですか……?」
「昨日、今日から真面目にやるって約束したよね?ほら、さっさと起きて」
リネルの頭を膝からどかして、部屋の入り口にスタスタ足を進めるイルミに、リネルは小さく溜息をつき起き上がった。
ちくりと痛んだこめかみに手をあてると、そこもきちんと手当がされているようだった。
リネルはイルミの後ろ姿に向って言った。
「師匠って、厳しいのか優しいのかよくわかんなくなっちゃいました…」
「…意地悪、じゃなかったの?」
イルミの言葉に目をさっと見開くリネルに、イルミは言った。
「またお仕置きされたくなかったら真面目にやってよね」
「はい………」
激し過ぎるお仕置きにはさすがに懲りたのか、リネルはしばらくは真面目に修業に取り組んだ。
fin