第9章 お仕置き(イルミ/弟子/鬼畜/微甘)
リネルは今日も修行に明け暮れていた。
リネルの目の前には、一部の隙もない雰囲気で立ち尽くすリネルの師匠のイルミの姿があった。
顔を強張らせ身体を緊張させるリネルに、イルミは無表情のまま言った。
「じゃあ戦闘訓練ね、これから念を込めた針投げるから攻撃全部かわすんだよ」
「え?えっ?!ちょっと待っ…何本?!何本あるんですかそれ?!」
「じゃいくよー」
「ちょっっ……!!わぁっ!きゃっ!ひゃあっ!!」
うるさい声をあげながらも、致命傷を避けるように必死に飛んでくる針を避けるリネル。
針を避けながらふと目線を目の前に戻すとそこにイルミの姿はなく、急に視界の上から音もなくリネルの間合いに入ってくるイルミの姿を捉えた。
「うわぁぁ!きゃあああ!!」
とっさに身体を左に引き攻撃をかわすが、その反動で体制を崩し地面に膝をついてしまう。
再び顔をあげた時には、ピタリと動きを止めてはいるが リネルの額に針を突き立てようとしている 無表情のままのイルミと目が合った。
「ミッションコンプリート、リネルの暗殺完了」
「…む、無理……」
「あのさ、やる気ないなら修行やめる?」
「だって…ず、するいですよ!針投げるだけって言ったのに!」
「戦闘訓練で攻撃は全部かわせって言ったよね?やる気ないどころか人の話すら聞いてないわけ?」
リネルは罰の悪そうな顔をして、イルミから目線をそらせて言った。
「……師匠って…、キルア君にもこんなに厳しいの…?」
「はぁ?そんなわけないでしょ、キルにはこの1000倍は厳しいよ」
「…1000倍って、……」
スッと針を引っ込めたイルミは腕組みをしてリネルを見下ろした。
今だ肩で息をしているリネルの顔や手足には針のかすった後が複数あり、血が流れていた。
リネルとてやる気がないわけではない、だだこう毎日一日中修行修行では飽きも来るし、年頃のリネルとしてはたまには遊んだりもしたいというのが本音だった。
そんなリネルの様子に気付いてかイルミはわざとらしく大きな溜息をついて言った。