第7章 運命(イルミ/クロロ/従姉妹/妊娠/エロなし)
「リネル何それ」
「…他に言うことないの?」
「今俺が聞いてんの、何そのお腹」
従兄弟同士であるイルミとリネルが顔を合わせるのは6ヶ月ぶり。
元々、会うとはいっても 会う時の日時、場所、やることも全てはイルミの都合であった。
一年間近く会わない事もあれば、毎日のように呼び出される事もある。
久々の再会に想像通りの反応を見せるイルミにリネルは負けまいと目に力を込め、少し膨らんだ自分の下腹部を優しく撫でた。
「…何って、子供が出来た」
「は?」
「…イルミの子供だよ」
リネルの言葉に イルミは普段の無機質な雰囲気をさらに強調するように感情のこもらぬ声で話す。
「何で言わなかった?」
「…イルミの答えがわかってたから」
「わかってるならなんでそんな身体してるわけ?さっさと堕ろして」
「嫌、というかもう無理だよ法律上」
「は?」
「6ヶ月を超えた胎児には人権が認められてるから堕ろせない」
毅然とした口調で言い放つリネルを見下ろしながらイルミは苛立った様子で溜息をついた。
「まさかさ、産みたいの?」
「うん」
「だから黙ってたんだ、ずいぶん勝手だね」
「どっちが。…ちゃんと生きてる、生まれて幸せになる権利がある」
イルミはリネルから目線をそらすとポケットから携帯を取り出し、サクサクといじり出した。
「いいよ、じゃあどっかの闇医者探してあげるから」
「嫌、産む」
「いい加減にして、ふざけてんの?」
「ふざけてるのはそっちでしょ!イルミにこの子の命を奪う権利があるの?!」
イルミは再びリネルに目線を戻し 携帯をしまうと、声を大きくするリネルに面倒くさそうな目線を向けて言った。
「いくら欲しいの?」
「…は?」
「手術代と、慰謝料?いくら?5億くらい?」
「いらないよ!お金なんか!!」
ますます声を大きくするリネルは許しを乞うように眉根を寄せて言った。