第19章 ハニートラップ (イルミ/妹)
「はぁっはぁっ…ぁ……」
唇が離れると呼吸を求めリネルは荒い息を繰り返す。身体から力が抜ける深い快感、初めて感じる感覚に目の前の人物が自分の兄である事すら忘れてしまいそうになる。
トロンとしたリネルの瞳を覗き込みながら イルミはリネルの頭の後ろに用意した針を一気に突き刺した。
「…………ッ」
「性感帯を麻痺させておく。この快感を知ったらリネルは仕事どころじゃなくなるでしょ」
「…うん、もう大丈夫」
「ミイラ取りがミイラじゃないけどさ、暗殺者がハニートラップに失敗して殺られましたじゃ困るしね」
イルミはベッドから立ち上がる。そして不思議そうな顔をしているリネルの頭をポンと撫でてからその部屋を去って行った。
fin