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〈短編〉H×H(裏中心)

第19章 ハニートラップ (イルミ/妹)


「ハニートラップ……?」

「うん、リネルもそろそろそういう年頃だしね。今日はその訓練するから」


兄の口から出たあまり耳馴染みのない言葉を聞いてリネルは目をパチパチ瞬いた。
そう言えば「訓練」と言われた筈なのに敷地内の山中ではなく なぜか今日は綺麗に整えられた屋敷の一室に集合を命じられており、少しの違和感を感じなくもなかった。

イルミは広いベッドに腰掛け足を組むと、リネルに話し掛けた。


「リネル知ってる?ハニートラップ」

「…聞いた事あるけど、具体的にはよくわからないような…」

「ようは色仕掛け。リネルは女だからターゲットが男の場合に女を使って相手を油断させるってこと」

「うん、意味はわかった」

「じゃ初めようか」


イルミはリネルを手招きする。
リネルはゆっくりイルミに近付き 少し緊張した顔付きでイルミを見下ろした。


「まずはそうだな…手本見せるからある程度流れとか雰囲気とか覚えてよ」

「イル兄が?お手本?」

「うん、リネルがオレのターゲットの役。オレはリネルをハニートラップを使って殺す」


イルミはベッドからスッと立ち上がるとリネルの頬を手のひらでスッと撫で、淡々とした口調で説明をしだす。


「基本的には2人きりにもっていった方がやりやすい。こういう密室ならベスト、相手もその方が乗ってきやすい」

「…うん」

「ようはその気にさせればいい。たまーに心理戦とか駆け引きとかやりたがる面倒なやつもいたりするけどさ、人間の三大欲求のひとつだし無理矢理にでも雰囲気作ってうまく誘い込めば拒める奴は多くない。相手もすぐその気になる」

「…その気?」


イルミは 少し不安げな顔をするリネルの頬を両手で包みこんだ。


「セックスしたいと思わせるって事」

「え…っ」

「わかるよね?」

「わかる、けど」

「口や舌、手や言葉なんかを使えばいい。最後までヤる必要はないし」

「!!」


瞳に戸惑いの色を見せるリネルを無視し、イルミはリネルの唇に自らのそれをそっと重ねた。
咄嗟の事に驚くリネルは両手でイルミを突き飛ばした。


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