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〈短編〉H×H(裏中心)

第12章 同化(イルミ/ストーカー/狂愛)


4日目《拒絶》


今日は部屋でたった1人、1人ぼっちでイルミを待つ。
でも寂しくはないよ、だって今日はいつもよりも頭の中によく聞こえる。

“イルミの声”



「リネル、ただいま」

「イルミ」

「ねぇリネル、これ何?」

「…え」



どくん…



イルミが差し出した写真立て。
見覚えがある、それは…
私が前に住んでた場所に飾ってあって物。

写っているのは私と、…知ってるはずなのに思い出せない女の子、あとは…?


「リネルが寂しくないようにと思って何か思い出になるもの持ってきてあげようと思ったらさ、こんなのが飾ってあってビックリしたよ」

「…えっ、と」

「これ誰?これがもしかしてってやつ?」

「……」

「俺の事が好きなのにこんなの飾ってたなんてリネルおかしいんじゃないの?」



トンッ



「いらないよね?こんな写真」

「…うん、いらない」

「おいで、リネル」

「…」


ベッドに腰掛け脚を組むイルミは、当然と言いたげに私に片手を差し出す。

でもわかる。
今日のイルミは少し怒ってる。
雰囲気が…違う。


「リネル?」

「…」


ゆっくり、ゆっくりと足を進めてイルミの前に立つ。
イルミの表情はいつもと同じだけど…雰囲気が違う。
どうしよう怖い。

“あ、声が聞こえる”



「しようよ、セックス」

「…」


『今日は嫌』と言ってみてもいいだろうか。
私達は付き合ってるんだし、気乗りしない日があってもおかしくないよね…
何より今日のイルミはなんか怖い。
無理やり抱かれた日を思い出してしまう。

“聞こえる、頭の中の声が。”



「リネル、どうしたの?」

「……」

「したくないの?」

「…………ッ」



『今日は嫌』
なぜそのたった一言が言えないの?

唇が震える。
心臓が早なる。
目頭が熱い。
冷や汗が流れる。

私、どうなってるの?





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