第12章 同化(イルミ/ストーカー/狂愛)
1日目《恐怖》
「…んー」
「あ、起きた?」
「………イルミ?」
ある朝、何故かリネルの部屋にいたのは知り合いのイルミ。
当たり前のようにリネルのベッドに腰をかけ、優しい手つきで髪を撫でる様子に リネルは驚きの声を出した。
「な、何してんの人の部屋で!どーやって入ったの…?!」
「鍵を偽造するくらいどうって事ないよ、まぁドア蹴破ってもいいんだけど騒ぎになるとリネルが困るもんね」
「え……?」
悪びれもせずに言い放つイルミは、起き上がろうとするリネルの手首を抑えた。
「ちょっ、やだっ…離してよ!!!」
「ねぇリネル、昨日リネルの友達のにリネルはってやつが好きって話してたよね」
「え……、なんで、…知って……」
目を見開いて戸惑いの色を浮かべるリネルに、イルミは首を傾げて当然という口調で言った。
「そんなに俺の気を引きたかった?リネルが好きなのは俺でしょ?」
「…は…………?」
「ごめんね気付けなくて。他の奴が好きだなんて嘘までつかせるつもりはなかったんだけどさ」
どくん……どくん…
体重をかけられ、手首をきつく掴まれているこの状況に、リネルの心臓は危険信号を告げていた。
「な、…なに言ってるの…?私、イルミなんか…好きじゃないよ…」
「また嘘?俺がこうやって会いにくれば警戒してるし近付けばドキドキしてる。それって俺の事男として認識してて俺の事が好きって事だよね」
「…なんで、そうなる、の…」
「でもさ、リネルがそこまで俺の事想っててくれたなんて知らなかったな…」
イルミはリネルの首元に顔を寄せると そこにヒヤリとした唇をそっと押し付けた。
「…やッ………!!」
ぞくっ…
リネルはその感触に 全身に気持ちの悪い鳥肌を覚えた。