第9章 想い
隆平くんは、震えながらも
必死に両手広げて
ドアの前で塞いでた
「隆平くん、いいよ。
私は泣いてないから…」
「泣いてる!!」
隆平くんは私に顔を向けた。
「…仕事やん、しゃーないやん
なのになんで?おかしいやんか
責め立てられるんは、ぜったい、
兄ちゃん達のお母さんちゃうのん!!」
しーん、と静まり返ったリビング。
潤くんも、
もう無理に出ようとはしてなかった
「…兄ちゃん、大丈夫?」
忠義くんも不安げに駆け寄る。
「俺らやってさ、仕事やで。
里親見つかったらさよならや。
でも兄ちゃん達はちゃうやろ?
いつだって会える、会いに行ける
俺らは子どもや、会えへんねん!!」
隆平くん、分かってるんだ
私は預かってるだけで
里親にはなれないことも…
里親が見つかってしまえば、
私とはお別れになること。
もしかしたら…。
兄弟バラバラになることも
分かってるのかもしれない。
「わ、わたし!!」
気まずい空気を蹴破って、
どうにかしたいと叫んだ
「私、出て行きます」
「「「えっ…」」」
私がいるから、
みんな喧嘩しちゃうんだ
だったら居なくなってしまえば…。