第8章 精神状態
翌日、私は病院に居る
翔くんを迎えに向かっていたら
その電話は鳴り響いた。
「お姉ちゃん、電話鳴ってんで」
一緒に来ていた隆平くんが
ほい、と携帯を差し出す。
誰だろ、と見てみると
「……咲和、さん…?」
一瞬、戸惑ったが
慌てて着信に応答する。
「はい、橘です」
『あ。ちゃん?
久しぶり!元気にしてた?』
その声は明るくて、
まるで皆とは関係ない人みたいで
心がモヤっとした。
『息子達は元気?』
「……色々あって、
翔くんが倒れられました」
『翔が!?大丈夫なの?』
「様子見次第では入院だろう、と」
そう伝えると、
咲和さんは黙り込んだ。
雅紀くんが言ってた。
前にも、前の前にも、
倒れたことがあったって。
『…他の子は?』
「心配はないと思います
でも、みんな傷ついていました」
『…私のせいね。
たくさん騙して傷つけた』
咲和さんはしばらく黙り込み、
『…もう少しで戻れるから
そしたらちゃんとみんなで話すわ』
「もう、少し?」
『本当は何年かしばらく
戻れない予定であったんだけれどね?
仕事が早く片付いたから、早まって
2週間ぐらいで戻れるみたいなの』
「…………え?…」
離れない約束、
したはずだったのに…