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母親代理人

第16章 再会





5人が帰った後、

先輩たちが彼らの話を始めた



『まずいんじゃない?』

先輩がニヤリと口角を上げた。


『好意持たれちゃって、しかも5人に』

『あんなイケメンで、本気になられたら
あんた、心臓爆発しちゃうんじゃない』


きゃー、と乙女な先輩たちに
微笑みながらも、


確かに、それはそうかもと納得した。




『でもちゃんが
支部に転々としてた頃からあの子たち、
何度も何度も訪ねてきてたのよ?』


「…え?」

『日替わりみたいに5人が来て、
ちゃんは居ませんか、ってね。
本当に好きなのよ、彼らは』



ーーーーーーー




ガラッ


『あら、また来たの?
今日は……、和也くんね。』


ふふ、と笑い声を漏らす


「ちゃん、居ませんか」


幾度となく同じセリフを

ここに来て彼らは聞く



『ええ。まだ帰省の予定はないわ
この前も言ったけれど、
ちゃんはまだ帰らないのよ』


「……また来ます」




ガラガラッ、



ーーーーーーー



『あの時は泣きそうになったわよね』


『ええ。泣きそうな顔で聞くんだもん』




彼らはどんな気持ちで、
私の帰りを待っていたのだろう。


毎日、バラバラの時間で


どれだけ大きな期待を胸に、
ここへ足を運んではがっかりしたのだろう



考えただけで、悲しくなる。



『晴実さん、言ってたわ。
ちゃんにこんな事、
させなきゃ辛くなかったろうにねって』



走らせてたペンを止めて、

先輩達は小さく頷いていた。


『これからはプライベートでも、
彼らと会ってあげなさいね』



優しく微笑む先輩達は、

きっとすべてを理解してる。



「…はい」




特別な思いなんて要らない。



この仕事をしてる上で、

彼らと出会えたのならば
それが理由であればいいんだから。







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