第15章 キミノトナリデ
真夜中3時、
私はバックに洋服などを入れて
家から出て行こうとしてた。
一緒にいたい気持ちはあるよ、
でも。やっぱり、
ここには咲和さんが必要なんだ。
ガタッ、
物音に気づいて振り返ると
眠そうな顔の潤くんがこちらを見てた。
「…出て行くんだ」
消えそうな声で、
彼が私に向けて言った。
「結局、俺らは何も変えらんなかった
自分自身の事も貴女とのことも
ただのワガママで約束させちゃったし」
でもさ、
「…ありがとう、約束してくれて」
ただそれだけ。
潤くんは部屋の中へ戻った。
また会える日まで、
私は小さく呟いて
五十嵐家をあとにした。