第19章 銀色の鎖(girl's side)
その銀色の髪をした彼が、よりによって持ち物検査で妊娠検査薬を持っていたことがバレ、さらにある女子生徒を妊娠させた張本人として、咎められていた時も、私はそれを事実とは信じられないでいた。
「坂田くんが、同じ学校の女子生徒を妊娠させるだなんてヘマ、しないと思いますけど」
女子生徒が運ばれた病院からの報告を待つ間、職員室で意見を求められ、私はそう答えた。
素行の悪い男子生徒に対して、生理的嫌悪感から女性教員が厳しい意見を持つことが多い学校なだけに、私の答えにほかの教員は驚いたようだ。
もちろん私にも確信があったわけではない。
ただ、「避妊もせずに女抱いたことないですよ」と私に言った、彼の言葉を信じたいと思っただけだ。
「いや、でも、……あの二人が時々屋上で話しているのを見かけたという情報もありますし」
「ええ。私も見ました。でも、つきあっているという風でもありませんでしたよ」
「しかし……妊娠検査薬も、シノハラに頼まれて坂田が買ったものでは?」
「そうかもしれませんが、本当に二人がそういう関係であるならば、学校に持ってくる必要なんてないでしょう?それこそ、二人だけになれる密室にそれを持ち込めばいいんですから」
「……」
「まあ、病院からの報告を待つことにしましょうよ」