第3章 *理論はいらない【竜ヶ崎怜】Free!*
「ハァ……」
口に出してしまっていたのに気づかなかった怜は、羞恥心のあまりメガネを押さえながら肩を落としていた。
真琴達が気を利かせてくれたから今は二人きり。
手を繋いだり何だりするチャンスなのに項垂れる頭を上げられない。
『そんなに気にしなくていいのに』
「気にしますよ……」
『ごめんね、放置してて。でも私には怜だけだよ』
嬉しい事を言われてようやく顔を上げた怜。
その目はキラキラと輝いていた。
そんな怜を見てクスリと笑うが可愛くて、彼は小さく胸を高鳴らせる。
「あの…!手……繋ぎませんか?」
『うん、いいよ。はい』
恋人繋ぎ。
怜はもう嬉し過ぎて顔がニヤけている。
なんとも純粋な奴だ。
そして更に怜を喜ばせる一言をは口にする。
『ウチ寄って行かない?』
「いいんですか…?」
『勿論!今日は一緒にいよ?』
「さん…!」
『ふふっ』
大事なので二回言うが、なんて純粋な奴なんだろうか。
目に薄っすら涙浮かべて喜ぶなんて。
が微笑むわけである。