第13章 *妻の不安【真田弦一郎】テニプリ*
「うむ。今日観た映画はなかなかの出来だった」
「時代劇……」
「しいて言えばもう少し迫力が欲しかったが」
翌日。
観たかった時代劇の映画を鑑賞した俺はご満悦気味に夕食を口に運んでいた。
米、なめこの味噌汁、肉、あと煮物。
俺の好きなものが並んでいて、いつもより箸が進む。
「今日も美味い食事を作ってくれて感謝する」
「うん……」
「どうかしたか?」
「えっ?ううん!何でもないの!じゃあ私食べ終わったから……お風呂入ってくるね!」
「何?まだ少ししか食べておらんではないか。体調でも悪いのか?」
「ううん!元気!大丈夫!」
「待たんか!……一体何なのだ……」
いや、原因は俺が待っているからの言葉にあるとは分かっていた。
だが食事が喉を通らない程の事とは一体なんなのか。
何か重大な秘密でも抱えているのか?
ならば早急に打ち明けるべきだろう。
何故黙っているのか理解出来ん。
「こうなれば聞くしかあるまい」
もしかしたらキッカケが欲しいのかもしれない。
俺が聞けば話してくれるだろう。
そう決めた俺は、残りの食事を1人で完食したのだった。