第13章 *妻の不安【真田弦一郎】テニプリ*
真田side
「ねぇ、弦一郎……」
「どうした」
「えっと……私もう寝るね」
「そうか。ゆっくり休め」
「うん、おやすみなさい……」
またか。
と、布団に潜った妻を見てこう思う俺。
ここ最近様子がおかしくて何かを言いたげにしているのだが……口を噤んでしまう。
「言いたい事があるのなら言わんか!」と声に出してしまいそうになるが、が自ら話してくれるまで俺は待っている。
「そうだ……明日お休みでしょ…?何処か出掛ける?」
「うむ……ならば映画にでも行くか」
「うん…!」
日々の鍛錬や仕事も大事。
けどそれ以上に妻を大切にしなければならない。
生涯を共に歩み、愛すると誓いを立てたなら、それに反する事をしてはならぬのだ。
だから俺はどんな時にでも、に対して感謝の気持ちを忘れた事はない。
掃除、洗濯、炊事、家計のやりくり。
家の事を全て1人でこなしてくれる俺の愛する妻。
この女性と夫婦になれて俺は本当に良かったと思っている。
だが……
その愛する妻が不安を抱えているなんて事、俺はまだ知らない。