第12章 *なら及川、お前が退け【岩泉一】ハイキュー!!*
「ハァ?!?!」
それから付き合い出して1ヶ月。
及川が耳打ちで言ってきた事に対して大きなリアクションをとってしまった俺。
場所は体育館だから響くし、隅にはが居る。
ちょっと今はそっちを見れない。
「声が大きいよ。でもその反応じゃまだなんだね」
「余計なお世話だ!」
こいつが言ってきたのは……
〝もうちゃんとシた?〟
だった。
いきなり何を聞くんだこのクソ及川は。
まあ確かにシてない。それは認めていい。
けど俺がを抱かないのはあいつの事を大事にしたいからだ。
別に度胸がないとかではない。
「でもスキンシップは大切でしょ。どうしてシないの?」
「……あいつを大事にしてぇんだよ」
「ふーん……でもさ、岩ちゃん」
「ア?」
「その大事にしたいって気持ちが……ちゃんを不安にさせてるかもよ」
が……不安…?
あいつは特にそんな素振りを見せた事がない。
俺が視線を向ければ笑顔で応えてくれる。
なのに……不安?
俺より遥かに恋愛経験豊富な及川が真面目に言ったせいで変に引っかかってモヤモヤする。
もしが俺に隠れて膝を抱えてるとしたら……
大事にしたいなんて、そんなのただの自己満だ。