第12章 *なら及川、お前が退け【岩泉一】ハイキュー!!*
「ったくあいつ……」
「あのっ……どこに行くんでしょうか…?」
「あ?あっ、悪りぃ。まだ離してなかったか……」
ズカズカと廊下を突き進み、気付けば辺りには誰も居なくて2人きりだった。
向かい合う俺達の間には相当気まずい空気が漂う。
名前を聞こうかどうしようか悩む俺。
けど今聞いていいのか分からなくて頭を掻く事しか出来ない。
「あの……岩泉、先輩…?」
「は?先輩?お前タメじゃねぇのか?」
「あ、はい……1年です」
マジかよ、同じ3年だと思ってた。
別に年齢とか気にしないけど、年下っていうのは……なんだか可愛さが増す気がする。
こいつが小さいからなのかは分からないが。
「なら何で3年の教室に来てたんだ?……まさか及川に…!」
「ち、違います!私は及川先輩じゃなくて…!じゃなくて……」
「あ?じゃあ誰に用だったんだよ」
「その……い、岩泉先輩に……話がありまして……」
俺かよ!
そうツッコミを入れたのは心の中で。
やはりこいつは俺だったのか?とか淡い期待をしてしまう。
モジモジしている姿を見てしまえば誰もがそう思うだろう。
「話?」
「はい……あの……せっ、先輩は彼女いますか…!!」