第12章 *なら及川、お前が退け【岩泉一】ハイキュー!!*
叫ぶように声に出されて俺は顔を赤くしてしまった。
周りに誰も居なくてホッとする。
というか及川が居なくてよかった。
居たら絶対ウザい事を言ってきていた筈だ。
「いねぇよ」
「ほ、本当ですか…?!」
「ああ。つかそういうお前は?そんな事聞いてきたって事はいねぇのか?」
「はい!いませんっ!!」
「お前……何勢い良く言ってんだよ、面白えな…!」
「あ……」
キラッキラの目で「いませんっ!!」なんて言うものだからつい吹き出してしまった。
それじゃ俺にアピールしてるってバレバレ。
両想いだと分かれば告白してもいいかもしれないが……
何せ初めて会話をしたんだ、直ぐには流石に言えない。
「お前名前は?」
「です」
「じゃあ。交換するか、連絡先」
「……いいんですか?!」
「何だよ今の間は」
「あっ、ちょっと信じられなくて……」
「そこは信じろよ。俺は嘘ついたりしねぇから」
「はいっ!ありがとうございます!!」
「スマホ出せ」
「はいっ!!」
こうして名前と連絡先を知る事が出来た俺は、「今日も練習頑張って下さい!」と言いながら去って行くを見送った。
「やべぇな……前より好きかもしんねぇ……」
口元を手で隠して呟く俺は完全に恋してる。
そしてもう姿が見えないに向かって「観に来てくれるんだろ…?」と問いかけた。
お前が居れば……今日も頑張れる。