第2章 出会い
青峰がドギマギしていると、横から緑間が私の目の前にテーピングテープをつき出した。
緑間「くだらんことを言ってるな。お前には俺との約束があったのだよ。覚えているか?エレナ。」
私は頷き、緑間に近づくとテープを受け取る。
「もちろん!じゃあ、テープ借りるね?…左手からお願いね?」
緑間の細く長い指にテープを巻いていく。
関節のところに注意しながら丁寧に巻くと、頭上から、ほぅ…という声が聞こえた。
見上げると緑間と目が合った。
すぐさまその顔は赤に染まり、顔を背けられてしまう。
緑間「……よ、よそ見はいいから続けるのだよ///。」
「あはは、ごめんね?……あと、親指……うん、これでいいかな。じゃあ、次は右手ね?」
右手のテーピングをしていると、再び後ろから青峰の腕が伸びてきて、私は後ろから青峰に抱き締められた形になってしまう。
青峰「へぇ……上手いもんだな……。」
緑間「……おい、青峰。激しく邪魔なのだよ!あっちに行け!」
緑間は私に抱きつく青峰を睨み付けていた。
一方の私はそんな二人を気にすることなく、テーピングに意識を向けていた。
「ちょっと~!大輝っやりにくいってば!………っと、出来たぁ!」
緑間はテーピングが済んだ指を動かしながら、目を見開いていた。
「……どう?真くんの筋や関節可動域に合わせてみたんだけど……」
緑間「………お前は、昨日の練習を見ただけで、この巻き方が良いとわかったのか……?」
緑間は驚いた様子で私を見つめていた。
私はなぜそんなにも驚くのか分からず首を傾げた。
「えっ?……あ、うん……そうだけど……ダメだった?」
ちらりと見上げると緑間はふい、とそっぽを向いてしまう。
緑間「……正直、指の動かしやすさに驚いているのだよ。……だが、しっかり固定されるべきところは固定されている。……何なのだよ、これは…」
緑間の言葉に嬉しくなった私は思わず笑顔になってしまう。
「真くんの力になれて…よかった!」
緑間(くっ…///この笑顔……本当にたちが悪いのだよっ///!!)
今この瞬間、緑間は自分がエレナに惚れていることを、完全に自覚したのだった。