第3章 夏が始まる
そんな空気も気にも止めず独自の視点で話をし始める紫原に緑間と虹村がため息を漏らす。
「あるよー!実は昨日の夜にアップルパイ焼きました♪」
紫原「わ~~~!!本当にぃ~!?食べたい食べたいっ」
ピースサインを作り、笑顔を向けるとキラキラと目を輝かせた紫原がガタっと大きな音をたて立ち上がった。
赤司「…行儀が悪いぞ。紫原…席に着け。」
紫原「む~~。わかったよー。赤チン怒んないでー。」
赤司の言葉によって不満げな様子を残したまま席についた紫原だったが、すぐに目の前の料理へと気を移し口いっぱいに頬張らせていた。
そんな紫原の姿を見ながら口許に手を当て、クスクスと笑っていたエレナの肩にトン、と触れた手。
振り返ると隣に座っていた赤司が柔らかな笑みを向けていて
赤司「…本当ありがとう。エレナが俺達に協力してくれて…傍で応援してくれたから、無事優勝することが出来たよ。……君のおかげだ。」
「征くん…・・・///」
その笑顔はいつもと変わらないように見えるが、少しだけホッとしたような表情に感じられ、エレナは胸の中がじんわりと熱くなっていく。
「…むしろお礼を言わなきゃいけないのは私のほうだよ。征くんが私を帝光中バスケ部に呼んでくれたおかげで、こうして皆と出会えて…征くんたちと一緒に優勝まで体験させてもらって……本当に本当に幸せだよ!ありがとう、征くん。」
エレナの言葉に一瞬目を見開いた赤司だったが、すぐにいつもの笑顔に戻ると彼女の頭をぽんぽんと優しく撫でた。
赤司「……君は、いつも……いや、そう言ってもらえると俺も嬉しいよ。」
微笑み合う二人。
虹/青/緑/紫(………完全に出し抜かれた…)
桃井「何アレ!超いいカンジなんですけど~vV!!」
2人を見ていた他のメンバーの曇った表情と、正反対にキャアキャアと騒ぐ桃井。