第2章 代役屋
チリリリリリリ・・・
目覚まし時計のアラームが部屋に鳴り響いた。
その音で目が覚めた安西 美華はアラームを止めるとベッドから立ち上がった。
そして階段を下りてリビングへ向かった。
「おはよう」
母の由香里がキッチンで朝食を作りながら声をかけた。
「おはよう」
美華はそう言うと食卓に座った。
「お父さんは?」
「もう出たわよ。」
「そっか。」
他愛のない会話を交わす。
美華の父は有名な大手会社の社長。すなわち美華は社長令嬢である。だからといって私立校に通わず、一般の公立校に通っている。
毎日同じことを繰り返しているため、もう行動がパターン化してしまっている。
朝食を摂り、洗面所で顔を洗い、歯磨きをし、髪型を整え、部屋に向かい、制服に着替え、用意をして、荷物を持ち、玄関で靴をはき、家を出る。
「いってきます。」
「いってらっしゃい。」
この行動パターン、何回繰り返してきた事だろう。