第10章 お腹が痛い 慶次
後日。
「ってのはいるか?」
「は、はい」
学年でとても評判がいい(一部では悪い)隣のクラスの政宗が教室を訪れた。
政宗はが返事をするとすぐに廊下に連れ出して、つま先から頭まで、まるで品定めするかのように見ていた。
「…なんでしょう」
「HA!前田もいい女みつけたもんだぜ」
「はい?」
「ちょっ政宗なにやってんだよ!!」
慶次が向こうの方からは知ってきて政宗の腕を引いた。
「別に取って喰ったりしねぇよ」
「そうじゃなくて!」
「な、なにが…」
には状況が呑み込めず、政宗と慶次を見比べるだけで精いっぱいだった。
「アンタの彼氏の前田が自慢してくっからよ、見に来たんだ」
「ちょっ、慶次君?!」
慶次を見れば恥ずかしそうにしゃがみこんでいうなよぉ、と泣きそうな声で政宗を睨み付けていた。
その様子を見て、は笑いをこらえるのに必死だった。
「ま、幸せにしてやんな、風来坊さんよ」
「ちょっ、も、もう変なこと言うなよ!!?」
しっしっと慶次は離れて行く政宗に向かって舌を出した。
「…慶次君、そんなこと言ってたんだ」
「や、あっあのさー、ほら、なんていうの?えっと」
どうやら言い訳をしたいらしく、視線が定まらずあちこちをおっかけていた。
「ううん、嬉しいから別にいいよ、ほら授業始まるから戻ろ?」
「え?あ、うん」
は別に怒っているわけではなく、嬉しかったという気持ちだったので慶次を咎めようとかそんな気はなかったらしい。
二人(主に慶次)はこれから仲間に弄られて、幸せになっていくんだと思う。
END