第9章 暇人の休日 佐助
「何にもない、暇すぎる」
「そんな事俺に言われてもなぁ」
本日は晴天…なわけもなく、台風が近づいているため雲行きは怪しい。
いつ強風が噴き出すかもわからないので、ベランダに置いてある植木鉢は全て室内に避難させたし、雨戸も締め切っている。
「…まだ来てないじゃん」
天気予報ではずっと台風情報が流れていて、なんだかそれも見飽きてしまった。
どのチャンネルにきりかえても台風の事ばかり。
ドラマを見ていたとしてもテロップが邪魔をしていつもより画面が小さく見えてしまう。
「それでもいつ危なくなるかわからないでしょーが」
「佐助は心配性だなぁ」
「わかってるならじっとしてなさい」
「はぁい」
とはいいつつも、一日中部屋の中にいれば退屈になってしまうのは仕方がないし、空模様を見ようにも雨戸が閉まっているので見えない。見たとしても雲一面の灰色には興味がない。
「何しよう」
「せっかくの休みなんだからゆっくりしよ?」
佐助もも共働きの新婚で、朝早い時間に佐助は出勤してしまうし、は夜遅くまでの営業時間で管理を務めているためお互いにちゃんと顔を合わせられるのは土日の二日間だけだった。
その二日間は今週台風がきてしまうためブッつぶれてしまったのだ。
「…風の強い日にねずみの国ってのもなかなか乙なもんだと」
「思いません」
「ですよねー」
外に出ようと提案しようが佐助にことごとく却下されてしまい、もいい加減我慢の限界だった。
まだ土曜日が始まって半日もしていないのに。