第1章 人それぞれ 政宗 ★
「また雨、雨…雨ばっかり」
また戦、戦、戦戦戦…今年で戦は何度目なんでしょうね、政宗様。
「…雨…か」
「えぇ、雨です」
こうしてぽつりぽつり降る雨は、嫌い、ザァザァ降る雨も嫌い、もう雨なんて降らなければいいのに…なんて、思ってしまう。
「私は何を失うのでしょう」
「…さぁな」
「政宗様を失うのでしょうか」
「そんなに弱く見えるか」
「今は、弱く見えます」
いえ、今も。
前から弱く見えてます。私がここに来る前からただのあなたは弱者です。
「そうか」
「えぇ」
弱者、弱肉強食、弱きものは強気者に食われる仕組み。これは間違うことのできない道。
「政宗様は私がお嫌いでしょうか」
「…どうだかな」
「私は好きです、今もこうしているだけで幸せな気分です」
こうして冷たくなるあなたを抱えて、自らの手で政宗様を✘めようとし、いなくなろうとする意識を必死に引き止め、死を恐れるあなたがたまらなく愛おしい。
「愛しています」
「…やめろ」
「私はあなたが好きです、誰よりも、何よりも、どんな…そう、どんな✘よりも」
「…聞こえねぇ」
もういいのです。奥州という縄から離れて楽になって、私と共に生きてください。