第1章 人それぞれ 政宗 ★
きっとそうなの。私はただ少しまわりと違うだけなの。
こうして握りしめているこの赤いモノも、避けられる原因になんてならない。
あぁ…そうなの、私はちょっと違うだけ…
「Hey」
「あ。政宗様」
「またこんなところで…帰って来い」
「承知いたしました」
こうして私はまた政宗様の後ろをついていく。
戦の度に私はこうして政宗様に探していただいてる。自分自身を見失ってしまう私を探し出してくださるの。
だからまたこうして政宗様の後ろをついていける。歩ける。
「政宗様、私はどうしてしまったのでしょうか」
「今更だな」
「…はい」
こうしてまた、同じ会話を続ける。政宗様も同じように笑ってくださる。私はこの顔を見るためにこうしているのかもしれない。でもよくわからない。
「雨、降ってきちゃいましたね」
「が真っすぐ帰ってくりゃこんな雨に当たらなかったのによぉ」
「申し訳ありません」
雨は嫌い。流してしまう、私のこの両手に付いたアカを流してしまう。
存在価値を持っていかれてしまうような不安に駆られてしまう。
政宗様もこうして流れて行ってしまうんじゃないかって思うと恐ろしくて立って入れなくなってしまう。
申し訳ありません、政宗様、まだ未熟者の私を許してください。