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BSR短編集

第20章 臆病な 政宗



「へへ、ごめんね政宗」

「いいから、寒いだろ。早く家に入れ」

どんなに俺が冷たくしようがへらへら笑いやがって。
こんな顔を、俺以外に見せているのかと思うと無性に腹が立ってくる。コイツをフった男の顔を思い切り殴りつけてやりたい。

「ねぇ」

「Ah?」

「もし、もしだよ」

「おう」

「もし私が…さ、」

そこまで言っては黙ってしまう。
何が、言いてぇのか…わからない

「政宗」

「なんだよ」

「今好きですっていったら、怒る?」

突然、何を言い出すんだコイツ。
俺は、なんでこんなことを言われているんだ

「は…?」

なんてね、そういっては恥ずかしそうに笑う。
俺に、どんな答えを求めているのか。昔みてぇに、俺はにお嫁さんにもらってやる、そう言われたいのか?無差別な愛を求めてやがるのか。
いや、俺は…俺は、そんな愛はくれてやるつもりはない。

「…別に、怒んねぇよ」

「そ、っか」

また、また苦しそうに笑う。
俺はそんな顔が見たかったわけじゃない。俺は何て言ったらよかったんだ?俺の気持ちを知りながら、そう言ってるのか?

「おやすみ」

寂しそうな背中を、放って置くことができなかった。




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