第17章 怖い、恐い 政宗 ★
翌朝、私は政宗と一緒に婦人科へ向かった。
結果を知るのは重要なことだとは分かっていたけど、もしものことを考えたらしりたくはない。
「あの...どう、でしたか」
「感染症の確認はされていないけど、膣内に精子が確認されたわ」
「妊娠、して 」
「今のところ確認はできない」
着床までには個人差があるのものの、大体2週間くらいでわかるものらしい。
今の所、私の体でそういう反応は出ていないらしいが、精子が確認されたということは妊娠してしまう可能性はあるということだ。
「政宗...っ」
「...どうにか、防げるもんじゃないのか?」
「そうね、取り敢えず薬を渡しておきます。ただ完璧に防げるものではないから、また病院にいらっしゃい」
感じのいい女の先生は私が泣きそうになる度大丈夫よと手を握ってくれる。
膣内に残っていた精子は取り出してくれて、後日また行えるように性病検査の予定も組んでくれた。
「ありがとう、ございました」
「彼氏さん、ちゃんと支えてあげなきゃダメよ」
「...あぁ」
この事をまだ親には教えていない。
「なぁ、犯人、探そうな」
「え?」
「...絶対、探そうな」
震える声で政宗は私の方を抱きしめた。
私はこのあと警察に連絡をし、病院に話をつけて証拠となる精子を提出してもらうことにした。
時間はかかったけど犯人は無事に見つけ出すことができて、裁判にまで漕ぎ付くことができた。きっと強姦罪で決まりだろう。
「ごめん、政宗、ごめんね」
結局妊娠はしてなかったみたいで安心はしたけど、失ったものはとても大きかった。
「謝るなっつってんだろ」
私の隣には、これからずっと政宗がいてくれるからもう怖いものなんて、ない。
END