第3章 ついてくる 佐助 ★
「不審者が我が校の生徒を―…」
珍しく月曜の朝、朝会があったかと思えばそんな知らせだった。
「不審者だって、怖いねぇ」
隣にいる佐助は私が初めて好きになって、初めて告白をして、初めての彼氏になってくれた人。もう少しで4ヵ月目だ。
「関係ないよ、別に一人で帰ってるわけじゃないし」
それに佐助がいるしね、と言えばそうだねって返してくれる。
佐助は部活をしててだいたい午後6時過ぎの下校になってるけどその時はわざわざ駅が違うのに一緒に降りて家まで送ってくれるし、私が用事があって先に帰るときは友達と一緒に帰ってる。
「っていうかどんな不審者なの?」
「え?聞いてなかったの?」
どんな不審者だか全然気にしてなかったけど、もしいたら返り討ちにしてやるって思ってる。あ、柔道とかやってないけどね。
「うちの学校の近辺をストーカーが…だってさ。結構怖いらしいよー」
「結構って…ついてきてるだけじゃないの?」
「特定の子を探してるんだって」
「はぁー?なにそれ!まぁ大丈夫っしょ」
佐助が守ってくれるでしょ?と言えばハイハイと笑われた。
私は小さい頃から小学校でも中学校でも高校でも、不審者なんかに遭遇したことは一回もない。大学生になったいまでも。
確かに不審者情報なんてのは聞かない日がない時もあったけど実際にあったことはないから本当にいるの?って思ってる。
「あ、そうだ、今日は一緒に帰れる?」
「勿論!今日はミーティングだけだから終わるのは5時前かな」
「おっけ、教室で待ってるね」
私達は別々のクラスだから放課後までそんなに顔を合わせない。
昼休みはお互いの友達としゃべってお昼食べてるし、移動教室なんかも顔を合わせても手を振るくらい。
友達からは理想のカップルなんて呼ばれてるからなんだか恥ずかしい。