第14章 謝り癖 政宗
沈黙が続き、口を開いたのはだった。
「…付き合おうだとか、おこがましい事は思ってませんっ。ただ、伊達さんの行動が忘れられなくて、こんなに優しい人がいたなんて知らなくてッ!」
必死に自分の想いを伝えてくるは、いつもの取り巻きの女とは全く別人に思えた。
実際には本当に別人なのだが、あの甘いにおいを発し、猫なで声で甘えてくる女とは一味もふた味も違く感じた。本当に同じ人間なのかと疑うほどだ。
「アンタ、なんつーか…素直なんだな」
「えっ」
「いいぜ、付き合ってやる」
「や、あの、そそそそそんなつもりじゃ!」
告白してきたにもかかわらず、いい返事をしてやれば思い切り赤面させて慌てだした。
「興味深いってのが本心だ。俺は生憎アンタみたいな女を扱ったことがないからな」
何故だかその言葉がとてもうれしくて、なんだか新鮮に感じて、とうとうは泣き出してしまった。
それを目の前に、政宗は優しく頭を撫でてやる。
「Nice to meet you.」
「あっ、え、えと、It's nice to meet you, too!」
お互いの事なんて、これから知ればいい。
きっと2人はそう思ったのだ。
「…ええと、その、私、 と言います!」
「伊達政宗だ、まさか名前も知らねぇ女と付き合うとはな…」
「な、なんかすみません…」
「その謝り癖何とかしろよ?」
「はっ、気を付けます!!」
彼女の口癖が変わるのはまだまだ先らしい。
END