第2章 キャラメル。
「ほら!お弁当ちゃんと持った!?あ!あと薬も…それから…」
朝からお母さんは大慌てだった。
「もぉー。さっきも確認した!お母さんが学校行くんじゃないんだから!落ち着いてよ!」
私がそう一喝するも、
お母さんは相変わらずワタワタとしていた。
「あ!鈴音!写真!写真撮ろう!」
お母さんはニコニコと嬉しそうにデジカメを持ってくる。
「はいはい。」
私が呆れたように笑っているのも知らず、
お母さんはセルフタイマーの設定に苦戦していた。
「もぉー、遅刻しちゃうよ?」
「わー、ごめんごめん、鈴音、これどうやるの?」
お母さんが私にデジカメを渡す。
私がデジカメの設定をいじると、
カウントダウンがスタートした。
カメラを位置に置くと、
私は母の隣に並んだ。
"カシャッ"
その音と共に写真がとられる。
お母さんはデジカメの画像を確認すると
満足気に笑った。
「じゃぁ、行って来るね。」
「うん、行ってらっしゃい。」
私は久々に
一人で外の世界へと
足を踏み出した。