第3章 紫陽花の憂鬱。
「あめあめふれふれ母さんがぁー♪」
雨がシトシトと降る中、
私は傘をさし、上機嫌で歩く。
梅雨に入る前ぐらいから、
私の心臓の調子はあまり良くなかった。
その前から、
調子の悪いときは
学校を休んでひたすら家で寝ていた。
が、先週はそれ以上に調子が悪かったため
3日間ほど病院に入院していた。
今日は退院し、病院の先生の許可も出たので、
学校へと向かっていた。
久々に火神やみんなと会える!
それが嬉しかった。
学校につくと、
水玉の傘をたたみ、
フルフルと傘の露を払う。
傘を傘立てに入れると、
私は教室へスキップで向かった。
"ガラ"
教室のドアを開けると、
視線がいっきに集まる。
「あ!香月さーん。大丈夫?」
「香月さん、おはよー!」
クラスの人が心配していてくれたのか
駆け寄ってくる。
なんだか嬉しかった。
「わぁー!ありがとぉ!大丈夫だよぉー!」
私はヘラヘラと笑う。
そんな私に向かって
なにやら大きな男がずんずんと向かって歩いてきた。
火神だった。
「お!火神ー♪おっはよー!」
私は相変わらずヘラヘラと手を振る。
火神はなんだか
ムスっとしていた。