第2章 キャラメル。
「うぉぉぉぉぉ!!!」
火神はすごい勢いでその集団の方へ走って行った。
が、すぐに弾き返された。
「わぁー!火神!?大丈夫?」
私は火神に駆け寄った。
「大丈夫だ!待ってろ!お前の昼飯買ってくるから!」
そう言って火神は再び突進して行ったが、
再び弾き返された。
その繰り返しだった。
「火神、もういいよ!私、お腹そんな空いてないしっ!火神ボロボロじゃん!」
私は再び突進していこうとする
火神を止めた。
「うるせぇ!黙って待ってろ!うぉぉぉ!!!」
火神は私の手を振り払うと、
再び突進していった。
そして、また弾き飛ばされた。
「火神ー…。」
私はすぐに駆け寄った。
が、その手には何かが握られていた。
「へへ、やっと何か買えたぜ!」
火神はヘラっと笑うと、
私にその握られている何かを渡した。
キャラメルだった。
「「…キャラメル?」」
二人で思わずハモってしまった。
「…わりぃ、もう一回行って来る。」
火神は立ち上がった。
「ううん!いいよ!私キャラメル好きだから!嬉しい!」
私は火神の腕を掴んだ。
「んなわけねぇだろ!昼飯がキャラメルって…」
それでも、私は火神が頑張って買ってきてくれた
キャラメルが嬉しくて、
もう満足だった。
だから、私は大きく首を横に振って、
火神の手を握った。
「火神ぃー!ありがとぉ!」
私がそういうと、
火神は私から目をそらした。
「…おう。」
私は火神からもらったキャラメルを口へ放りこんだ。
少し苦くて…でも甘かった。