第8章 水玉DAYS
そして、あいつが飛び出してったあの時。
そもそも、
その前から強がってる子供みたいな顔で
あいつは泣いてた。
すぐに嘘ついてるってわかった。
でも、ちゃんと分かってたよ。
俺を傷つけないようにしたかったんだろ?
…ありがとう。
あの飛び出してった鈴音を見つけた時、
鈴音は無意識の中ずっと俺の名前を呼んでた。
知ってたか?
演技するなら最後まで完璧にしろよ。
ひとつひとつの思い出が
愛しくて、
水玉のようにぽつぽつと
心を染める。
最後にあいつが残してくれた手紙を
おばさんからもらった。
びっくりするぐらい
シンプルな手紙だった。
あいつらしかった。
手紙を開いて
静かに笑う。