第10章 ◎ 忘れ物
ー 大和 side ー
あんなサエを見たのは
久しぶりだった。
1年前、アメリカに行ってから、、
サエは別人みたいになった。
笑ったと思えば...
はりついたような笑顔。
どうしたのか、何があったのか。
聞けなかった。
触れられたくは無いだろうと、、
せめて今まで通りに接しようと。
気付かないふりをし続けた。
それがサエにとっては、良かったのか
悪かったのかは わからない。
けど、、今の言い合う姿は
1年前のサエだった。
心から笑って、拗ねている。
俺らが見たかったサエだった。
変わらないでいたサエを見れたのに..
嬉しいはずなのに、、
演技に...
気付かないふりをしていた自分が、、
本当のサエから逃げていた自分が
恥ずかしくなった。
また俺らに笑ってくれるかな、、
演技無しのサエで、、、