第15章 文化祭
「遅ーんじゃないの?
こいつ、あんたのことで泣いてばっかだし、俺がもらうわ」
ユウトの顔から、笑顔が消えた……。
「実くん!
ユウト、違うよ。変なこと言ってごめん」
ユウトは近づいてきて、実くんの手を私の手首から引き剥がした。
顔は無表情のまま、怒ってるのか、何も言わない。
「ごめん、ユウト。
ほんと、勘違いしないで。
ほら、皆見てるし、もう行こう」
私はユウトの手を掴んで引っ張るけど、ユウトは動いてくれない。
「美月ちゃんが好きなのはどっち?」
ゆっくりと口を開くユウト。
「もちろん、ユウトだよ。
実くんとは、何にもないの。
心配してくれてるだけで…」
実くんは険しい顔をして、ユウトに言い返す。
「今はな…。
でも、あんたがそんなんだったら、俺がもらうから」
ピリピリした空気に耐えきれず、私は外に逃げ出した。
学校のビルを出て立ち止まる。
どうしよう…。ユウト、置いてきちゃった。
戻らなきゃ。
でも、あぁ、どうしよう!
何でこんな風になっちゃうの?
やっぱり、私がフラフラしてたから…?
私はビルの前で行ったり来たりを繰り返す。
「何してんの?」