第15章 文化祭
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16時。
文化祭は17時までだから、あと1時間しかない。
いくら私たちの作品が10分程度だっていっても、もう時間がないよ。
私は一日中、やきもきしていた。
上映前の挨拶も噛んだり、詰まったり…
今日の私は声優としても最悪…。
同じクラスの友達が、教室に駆け込んできた。
「美月!
受付でイケメンが呼んでる!」
ユウトだぁ。
私は自然と笑顔になる。
走りだそうとしたら、実くんに手を捕まれた。
「…何?」
戸惑って聞く私。
実くんは真剣な表情。
「行くなよ。
お前、振り回されてばっかじゃん」
手を振り払おうとするけど、力が強くて払えない。
「実くん、困るよ…」
皆が見ているのと、ユウトの所に行きたいので、私の顔はひきつる。
その時、ガラッと教室のドアが開いた。
「いつも見てます~!
皆で、すごい格好いいなぁって憧れてて~。
あ、ここの教室ですよぉ」
「どうもありがとう。
これからも応援よろしくね」
女の子たちに囲まれて、爽やかな笑みを浮かべるユウトが、視界の端に入る。
「あ…離してっ…」
私はもう一度、実くんの手を振り払おうとするけど、離れない。
その上実くんは、ユウトに向かって口を開く。