第12章 再会
2駅乗れば、街の中心地。
デパートやホテル、たくさんのビル。
私達は、夜景の見えるお店で、食事をすることにした。
二人で窓に向かって並んで座る。
目の前にはビルの灯りが溢れていて、小さく光る車がのライトがオモチャみたい。
「凄い…」
思わず見とれて感嘆の声をあげた。
「あの、さ、夜景もいいんだけど…
俺のこと…見て」
落ち着いた真剣な声に、心臓が早鐘を打つ。
そうだ…今はユウトと二人だったんだ。
どうしよう…緊張してきた。
顔が赤くなるのを隠したくて下を向くと、左手の上にユウトの手が重なった。
「俺、情けなくて…ごめん。
美月ちゃんのこと、自分から拒んだくせに忘れられなかった。
そのくせ勇気がなくて、ファンレターに名前も書けなくて。
今日は、ちゃんと俺から言いたいんだ。
聞いてくれる?」
こういう時、どんな顔をすればいいの?
ずっと聞きたかった言葉を、やっと聞けるの?
私は顔を上げる。
ユウトをまっすぐ見つめて、次の言葉を待った。
…どうしよう…ドキドキする…。
目があったユウトは、珍しく真剣な顔。
今まで見てきた、作ったような笑顔やごまかすような微笑とは違う。
「俺、美月ちゃんのことが好きなんだ。俺と付き合って下さい」
…。
………。
返事がしたいのに、言葉が出てこない。
ただ一言、「はい」が言えない。
胸が熱くて、目頭も熱くて、口を開いたら涙が溢れてしまいそうで。
やっとの思いで、
「はい…」
口に出した時には、やっぱり頬を涙が伝ってしまった。
ユウトの暖かい指が頬を撫でる。
真剣だった表情は、優しい笑顔に変わっていた。
「遅くなってごめん。
大好きだよ…」