第12章 再会
「ママー!
仮面レンジャーのお兄ちゃんだぁ!」
え……?仮面レンジャー?
興奮してひときわ大きくなる声に、その場にいる人皆がそっちに注目する。
スリムなジーンズにショートブーツ。
Tシャツに羽織ったジャケットがさりげなくて、オシャレ……。
雑誌から抜け出してきたみたいなイケメンは、間違いなくユウトだった。
「わー、あの人格好いい~!」
大学生らしき女の子のグループがヒソヒソと話はじめる。
ユウトは子どもに握手をして頭を撫でた後、噴水の前まで歩いてきた。
まっすぐと……私の前に……。
私に会いに来たの?
偶然なの?
きっと私は間抜けな顔をしてるんだろう。
ナンパ男に手を握られたまま、口を閉じることさえ忘れていた。
「おまたせ、美月ちゃん。
待ち合わせなんだ。
手、離してくれない?」
私に向かって甘い笑顔を見せた後、険しい表情になってナンパ男の手首を掴む。
「えっ……痛っ……なんなんだよ!」
ユウトの強い力に怯えて、ナンパ男は逃げていった。
その後ろ姿を横目に、私は何と言ったらいいのか言葉が出てこない。
「来るの遅くなってごめんね。
ファンレターなかなか読む時間がなくて……。
それに本当は俺の方が……」
最後の方は聞き取れなかった。
「いや、何でも……。
とりあえずメシ、食いに行こう」
自然に手を繋がれて、ドキドキする。
平静を装って、私は並んで歩き出した。
以前とは逆の道。
駅に向かって歩く。
ユウトとはいつも、この駅の周りでごはんを食べて、ホテルだった。
一緒に電車に乗るの?
そんなの初めてで、思わず笑みがこぼれる。
改札前で、私はパスケースを取り出した。
ユウトがパスケースを指差す。
「……それ、使ってるんだ」