第20章 丸ごと全部
「混浴あるよ。一緒に入る?」
というお誘いは丁重にお断りして、私は女湯でゆっくり温泉を楽しむ。
お湯に浮かべられた柚から、柑橘類独特のいい匂いが漂ってきて大きく息を吐いた。
せっかくの京都だから、2日めは温泉のある旅館に泊まることにした。
隣には乳白色の桧風呂があって、お肌がつるつるになりそうな気がする。
ユウト、喜んでくれるかも……。
なんて恥ずかしいことを考えて一人で赤面してしまった。
部屋に戻ると、つけっ放しのテレビを無視して、壁にもたれて台本を読んでるユウト。
無造作に着ている旅館の浴衣がやたらと色っぽい……。
集中してるのに邪魔しちゃだめだと思って、そっと入り口横の鞄の上にお風呂の荷物を置く。
あまり音を立てないように片付け始めると、背中の方でユウトが動いた気配がした。
シャンプーかな?石鹸みたいな、いい匂いがして振り返ろうとすると、後ろからギュッと抱きしめられた。
「柚……?美月ちゃん、いい匂いがする。それに、浴衣……似合うけど、早く脱がしたい」
耳元で囁かれる声に、「あんっ……」ってエッチな声で反応してしまう。
やだ、期待してたみたいで恥ずかしい……。
耳が熱い、多分今、私真っ赤だよね……。