第19章 旅行
初日だっていうのに暗い顔をしちゃったかな……。
顔を上げると不安そうに揺れるユウトの目があった。
「ごめん、久しぶりに会えたのに、寝ちゃうなんて彼氏失格だよね……寂しかった……?」
ユウトはまだ、新幹線で寝ちゃったこと私が引きずってると思ってたんだ……。
「私こそごめんね。
ユウトといると、時間が経つのが早くて、寂しくなっちゃったの」
重くて面倒くさい女だなって嫌われてしまいそうで、わざとおちゃらけて言ってみる。
きっと初めて会った時から、ずっと私の方がユウトのことを好き。
だから時々、ユウトに呆れられないか、嫌われないかってどうしようもなく不安になる。
冷たい風で冷えてしまった頬が、ふいに暖かくなった。
ユウトの両手に、頬が挟まれてる。
細いのに関節は骨ばった、大きな手。
「寂しいのに、笑わなくていいよ。
美月ちゃんの側にいつもいたいのは、俺も一緒だから……。
せっかく一緒にいるんだから、楽しい顔だけしてなきゃいけないってわけじゃない。
泣いたって、拗ねたっていいから、美月ちゃんの本音が知りたい」
くっきりとしたラインの入った瞼からつながる濃くて長い睫毛。
その下の大きな黒目が私を見つめる。